書籍『白い孤影 ヨコハマメリー』(檀原照和著)読了。読み入りました。約20年の年月をかけての収集と取材により、これまで語られなかった情報でメリーさんを語り直すことを試みるなんとも骨太な1冊。
本書では、内容を、大きくふたつのブロックに切り分けしてまとめられていることで、集中して読みすすめることができました。
A. メリーさんの実人生の探求(第1部・第2部)
B. 伝説の中のメリーさんの考察(第3部)
私は、本書にも登場する映画『ヨコハマメリー』(2006/中村高寛監督)を2017年12月に横浜シネマリンで鑑賞しました。私、ラスト泣きました。
鑑賞後に監督の著書「ヨコハマメリー かつて白化粧の老娼婦がいた」も読みました。内容は映画製作のプロダクションノートのような内容で、映画で描かれていたシーンの状況や背景といった取材秘話や撮影秘話を知ることができる点で興味深く読みました。
森日出夫さんの写真集『PASS』も手にして写真を見ました。
五大路子さんのひとり芝居舞台『横浜ローザ』は未見です。
そして本書。
それらを語り直すことを試みる1冊です。
これまでにある都市伝説のようなお話、過去の目撃情報、取材で聞いたお話、過去の取材記録、資料、、それらをひとつひとつ検証していきます。
メリーさん自身についての情報量に圧倒されます。
これまでの映画、書籍などでは描かれなかった情報もたくさん書かれています。
檀原さんが取材時の刺激的な様子もあからさまに書かれています。
そして、それもさることながら、メリーさんが生きていたその時々の時代の歴史や状況・背景の昭和史情報が細かくも膨大で具体的に書かれているので、その時々のメリーさんが、より明確に浮かび上がってきます。
当時の書籍や雑誌、映画、舞台といった文化的資料からの引用や昭和史解説部分も勉強になります。
また、メリーさん以外にもその時代時代のご当地有名人の紹介もあります。
メリケンお浜(神奈川県横浜)
クレイジーメリー(大分県別府)
ミス別府(大分県別府)
赤いメリーさん(三重県津市)
ラクチョウお時(東京都有楽町)
そこも興味深かったです。
何よりも檀原さんご自身の独自取材で集めた貴重なお話の数々が圧巻です。
読み応えのある1冊です。