目を覆いたくなる描写の連続で胸が痛みますが、よくぞ描いてくださいました。劇団テンアンツ主宰の上西雄大さん企画・脚本・監督・編集・プロデュース・主演で製作された映画。117分、見入りました。映画「ひとくず」感想です。
傑作です。
少女を地獄から救ったのは人間のくずだった
劇団テンアンツの舞台は、2019年8月に下北沢「劇」小劇場で「板の上の二人と三人そしてひとり」を観劇しており、大好きな劇団のひとつ。舞台終演後のカーテンコールで、上西雄大さんが映画「ひとくず」が公開されることを告知されていたのですが、これまで映画は未見でした。
冒頭、少女 鞠(マリ)が、親から受けている虐待の様子が静かに、静かに描かれ、物語が始まる。。
その後は、目を覆いたくなるほどの荒々しい虐待やいじめの描写が次から次へと描かれる。
そんな生活の中でも、虐待を受けている人、虐待をしてしまっている人たちに気を配り、気にかけ、何とか、何とか、救い出したいと自分なりの行動を起こす人々が表れてくる。
救い出すために自分は何ができるのか。
どうしたら救えるのか。
そのような思いを持って、それぞれのやり方で自分にできることを必死に考えて、働きかけをし続けていく人々。
切ない虐待シーンの合間合間に登場するそんな人々の言動に、目頭が熱くなる。
そして、ラストシーンは、涙があふれました。
そんなラストシーンまで描いてくれて本当に感謝です。
切ないシーンが多いですし、美しいとは言えない言葉の数々が飛び交う作品ではありますが、これは、明らかに個の救い、家族の救いを描いた希望の物語です。
脚本、個々の役者の皆さんの熱い熱量により、この物語にどっぷりつかって味わうことができました。
映画終演後、監督の上西雄大さんと担任教師役の水村美咲さんの舞台挨拶がありました。映画製作や撮影時のお話に聴き入りました。
寒い中、おふたりは舞台挨拶後、ユーロスペース入り口のエントラスの外で、サイン会をされていました。並んでいましたので、会釈のみして帰りました。
映画「ひとくず」。私にとっては、傑作です。
素晴らしい物語をありがとうございます。
2019年 ミラノ国際映画祭
ベストフィルム賞(グランプリ)
主演男優賞(上西雄大)
2019年 ニース国際映画祭
主演男優賞(上西雄大)
助演女優賞(古川藍)
2020年 ロンドン国際映画祭
外国語部門 最優秀作品賞(グランプリ)
最優秀主演男優賞(上西雄大)
2019年 熱海国際映画祭
最優秀監督賞(上西雄大)
最優秀俳優賞(小南希良梨)
2019年 マドリード国際映画祭
最優秀助演女優賞(古川藍、徳竹未夏)
2019年 賢島映画祭
特別賞
主演女優賞(小南希良梨)
2019年 湯布院映画祭
特別招待作品
以下、動画はネタバレを含みます。鑑賞後にご覧になるとよいと考えます。 私は、鑑賞後に観ましたが、鑑賞後に観てよかったです。
救いある家族の物語。感動の涙でした。もう一度映画館で味わいたいです。