映画「戦場のメリークリスマス 4K修復版」(2021)。2023年に、大島渚作品が国立機関に収蔵される予定のため、今回が最後の大規模ロードショーとなるとのこと。ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞しました。感想です。
オープニング。
映画主題曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」が、映画館の大スクリーンに、映画館の大音響で響き渡る。
思わず「うわぁ…」と、心の中で声が。
冒頭から引き込まれました。
1983年公開から38年を経た2021年。
4Kデジタル修復された映画「戦場のメリークリスマス」が、繊細な美しい映像と音響で劇場公開。
ヒューマントラストシネマ有楽町では、2K上映ですが、美しかったです。
なんでしょう、どのシーンも、緊張感を感じました。
撮影現場の緊張感。
当然、私は撮影現場には居なかったのですが、何でしょう、スクリーンから伝わるこの緊張感。
しびれました。
坂本龍一さん作曲の劇中音楽が、物語の情感を見事にあらわしており、没頭できました。
映画館で聞くあの音楽の数々は圧巻です。
酔ったハラ軍曹が部屋にロレンスとセリアズを呼びつけるシーンで流れる「Father Christmas」。好き。
劇中にたびたび流れる「Sowing The Seed」のメロディ。好き。
ボーイソプラノで歌われる劇中歌の「Ride, Ride, Ride」。
この歌も美しかったなあ。そして、切ない … 。
日本軍俘虜収容所において、ジョン・ロレンス陸軍中佐のような役回りの方って、いたんだろうなあ。トム・コンティさん、お見事でした。
俘虜となるジャック・セリアズ陸軍少佐、カッコ良かったなあ。デヴィッド・ボウイさん、お見事です。もう、大スクリーンにずっとアップだけでもかっこいい。
レバクセンバタ俘虜収容所所長のヨノイ大尉。いたのかもしれないなぁ、ああいう方も。坂本龍一さん、表情と目での心情の表現、気合の入った台詞と立ち回り。見入りました。
ハラ・ゲンゴ軍曹。いたんだろうなあ。もう、現場での独自判断で何をしでかすかわからない狂気。こわいです。へらへらしてそうだけど、急に言う一言が怖すぎる。そして、時々、台詞が日本語でも何を言っているのかわからない。これは、俘虜兵が感じる恐怖を疑似体験できることでよかった。おもわくば、ハラ軍曹だけ、日本語字幕がほしかった(笑)いや、無いほうがいい。ビートたけしさん、お見事です。
あの物語を鮮明な映像と音響で、123分、魅入りました。
鑑賞後は、サントラ音楽をBGMに、劇場パンフレット(1983年版、2021年版)を読んで余韻に浸りました。
- 解説
「撮っている時がいちばん幸福だ とラロトンガのロケ現場で大島監督は語った。」 - 大島渚 フィルモグラフィー
- 出演者紹介
・デビッド・ボウイ
・坂本龍一
・ビートたけし
・トム・コンティ
・ジャック・トンプソン
・内田裕也
・三上寛
・ジョニー大倉
・室田日出夫
・戸浦六宏
・金田龍之介 - エピソード集
・原作について
・映画化の決意について
・デビッド・ボウイが二年待ってくれた!
・”おもしろおじさん”に興味を持った
・製作費16億円!初の本格的合作
・たけしが参加した!
・一躍有名になったラロトンガ島 - 物語(結末までのすべて)
・硝煙に浮かび上がるヨノイとセリアス
・掃射兵ジャックと生の恥辱
・<行>と赤い花
・禍の神とボーイソプラノ
・抱擁と死
・メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス - 【聞き書き】タケシのロケ日誌「伝説の誕生」
・大島渚怒号事件
・1時間のリハーサルが無駄に
・とかげのアカデミー賞事件
・坂本龍一うなぎ事件
・ジョニー大倉とたけしのマリファナ事件 - 【寄稿文】坂本龍一(音楽・出演)
「撮影の合い間に、カメラのファインダーを覗かせてもらったら、音楽が聞こえて来た。」 - 著名人コメント
・唐十郎「目眩い皮膚の葛藤」
・横尾忠則「人類への日本人論」
・糸井重里「二種類の台詞が鍵」
・中島梓「狂おしく美しい男」
・やまもと寛斎「苦難の末の優しさ」
・山口小夜子「男の友情とロマン」 - 📕物語(英文:結末までのすべて)
- 📕全キャスト・全スタッフ紹介(英文)
- イントロダクション
・大島渚監督、最大のヒット作が4Kでよみがえる。
・巨大な密室で繰り広げられる、美しき男の愛憎劇。 - 物語(※注意!映画の結末に触れております。)
・ヨノイとセリアズ、運命の出会い
・「お前は悪魔か?」「君の禍いだ」
・「メリークリスマス、ミスター・ローレンス」 - 【寄稿文】樋口尚文(映画評論家・映画監督)
大島渚と『戦場のメリークリスマス』 - プロダクションノート
・前代未聞の奇抜なキャスティングは大島監督の信念が生んだ
・坂本龍一のあまりにも有名なテーマ曲が世界を魅了
・南太平洋ラロトンガ島に異色のダイセットを建設してロケを敢行
・伝説のキスシーンの効果はカメラ事故の産物
・カンヌ映画祭でまさかの「無冠」が逆に大ヒットを生む - 出演者紹介
・デビッド・ボウイ
・坂本龍一
・ビートたけし
・トム・コンティ
・ジャック・トンプソン
・内田裕也
・ジョニー大倉
・内藤剛志 - スタッフ紹介
・ローレンス・ヴァン・ポスト | 原作
・祷レミー・トーマス | 製作
・成島東一郎 | 撮影監督
・戸田重昌 | 美術監督 - 【寄稿文】オノ セイゲン(録音エンジニア / アーティスト)
82年サントラ録音現場と30周年DSDリマスター - 【戦メリ対談】 大島新(ドキュメンタリー監督 )X 坂本美憂(ミュージシャン)
- 【寄稿文】原正人(本作エグゼクティププロデューサー Hara Office 代表)
”タイミング”イズ・エブリシング
映画『戦場のメリークリスマス』製作から公開までを振り返って
・転機の新会社で、「世のため人のため」大島渚との初タッグに踏み出す
・メイキング映像を諦め、多国籍チームからなる大島組の空気を尊重
・「カンヌ落選」すらも話題に変えながら、期待を盛り上げた公開初日 - 【寄稿文】樋口尚文(映画評論家・映画監督)
大島渚、その人と作品
1942年戦時中のジャワ島、日本軍の俘虜収容所。収容所で起こった事件をきっかけに粗暴な日本軍軍曹ハラ(ビートたけし)と温厚なイギリス人捕虜ロレンス(トム・コンティ)が事件処理に奔走する。一方、ハラの上官で、規律を厳格に守る収容所所長で陸軍大尉のヨノイ(坂本龍一)はある日、収容所に連行されてきた反抗的で美しいイギリス人俘虜のセリアズ(デヴィッド・ボウイ)に心を奪われてしまう。クリスマスの日にハラは「ファーゼル・クリスマス」と叫んでロレンスとセリアズを釈放してしまう。それに激怒したヨノイは捕虜の全員を命じるのだが、周囲からの孤立を深める結果になり、葛藤に苦しむのだった。
引用元:映画「戦場のメリークリスマス 4K修復版」公式サイト
大島渚監督、最大のヒット作。
戦闘シーンのない戦争映画、出演は全て男。
戦争の闇を容赦なく描く伝説の名作がついに4K化。
第36回カンヌ国際映画祭で、そのテーマを巡って大きな話題を巻き起こした本作は、デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、内田裕也などの本業が俳優ではない個性的なキャスティングで原作者の日本軍俘虜収容所での体験を描いた、戦闘シーンが一切登場しない異色の“戦争”映画。俘虜となるジャック・セリアズ少佐を演じたデヴィッド・ボウイの美しさと存在感が随所で際立ち、坂本龍一扮するヨノイ大尉が次第にセリアズに惹かれていく様が描かれる。東洋と西洋の文化の対立と融合という複雑なテーマゆえに企画は難航し、製作費は膨らんだが、ビートたけしがラジオやテレビでネタにしたことで話題が独り歩きするなど、従来の映画プロモーションとは違う展開になったことも功を奏して、配給収入10億円の大ヒットにつながった。本作で初めて映画音楽を手掛けた坂本龍一によるテーマ曲「Merry Christmas, Mr.Lawrence」は映画史上屈指の名曲として今なお愛され続けている。2023年に大島渚作品が国立機関に収蔵される予定のため、今回が最後の大規模ロードショーとなる。
引用元:映画「戦場のメリークリスマス 4K修復版」公式サイト
ゲスト:デヴィッド・ボウイ、大島渚、ビートたけし、坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏
MC:山本コウタロー、ジュディ・オング
2021年版の劇場パンフレットに収録の【寄稿文】オノ セイゲン(録音エンジニア / アーティスト)「82年サントラ録音現場と30周年DSDリマスター」で紹介されてるオリジナル・サウンドトラックの映画公開30周年記念リマスター版 CD (2013年発売)がこちら。
映画「戦場のメリークリスマス 4K修復版」(2021)。映画館で体感できてよかったです。